広告代理店の仕事

屋外広告、交通広告を仕切るハウスエージェンシー【広告代理店 経験談】

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オリーヴ
こんにちは、オリーヴです。今日はハウスエージェンシーの広告代理店の経験者談ですよ

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OOH広告とは?屋外・交通広告

屋外広告・交通広告(OOHメディア)は電波や新聞・雑誌などと違い駅貼りポスターや看板と言った決まった場所に提出する動かない媒体です。これらを主に扱うため広告代理店は、都市部ばかりでなく媒体のある各地方に分散し、地方にも多くの業者がいます。

動かない媒体とは言っても中には電車やバスの車体のように動く媒体もいくつかありますが、基本的には広告を見る人が動き、広告は動かないというのが屋外・交通です。

地域の代理店や屋外広告業者が活躍する場

そのような広告代理店は、クライアントから頼まれた広告物を指定された場所に設置するのが仕事です。

ただし、大手の代理店の担当者が日本中歩き回って媒体を探すのは大変ですから、おのずと地方の業者に設置場所を探して貰い、基本デザインの出来た広告物を設置場所に合わせて設計・施工、取り付けはその地方の業者と言うことになります。

地方の有力業者は地場のクライアントばかりでなく、このように中央の大手代理店との繋がりを持つことによって、ナショナルクライアント(全国規模で事業をしている大手企業)の仕事を間接的に請け負う事にもなるのです。

今はインターネット広告が売り上げを伸ばし、サイバーエージェントのような会社が日本の広告代理店の上位にランクされるようになりましたが、OOHだけを見ると総合広告代理店の電通、博報堂、ADKがやはり上位3社と言うことになります。

ただし、大手は受注金額の低い仕事は事実上受けませんから、自然にその下や更に下と言った広告会社が実際は請け負うケースが多くなります。

大手代理店が元受けになる仕事

企画力のある大手代理店は、電波、インターネット、新聞・雑誌、交通、屋外、折込チラシなどの広告物の配分を考え、製作やデザインが決まると下請けとなる業者に仕事を振り分けます。

かつて私がまだ業界にいたころ、銀行の統廃合が盛んにおこなわれていて、店舗の看板や外装などのリニューアル工事をするため、全国の看板業者が駆り出され一晩のうちに切り替える作業が行われたことが在りました。

このような仕事をクライアントから受けて、すべての変更マニュアルを作り、手配をするのが大手広告代理店の仕事になります。

ハウスエージェンシーが媒体社の役割をする

ただし、銀行のような大企業になると必ずハウスエージェンシーがあります。日本のナショナルクライアントは、社内の宣伝部とは別に子会社としてハウスエージェンシーを持っている企業が大多数です。

ただ、ハウスとは言っても親会社が媒体を持っている鉄道会社や電力会社、NTTなどのように多くの電柱を所有している場合は、ハウスが媒体社のような形となり、専属の広告代理店の仕事を管理するような形が多くなります。

交通広告のハウスエージェンシー

そこで、ハウスエージェンシーについて少し触れておきましょう。先ず、交通広告でいうとJR東日本の子会社であるジェイアール東日本企画(J企)が代表的な存在です。

ただ、設立時は殆んどの社員がJRからの転職(転属と言った方がいいかもしれません)でした。当然ですが、初代社長は元国鉄の管理局長で、広告を販売するノウハウを持っていない人も多く、専門の広告代理店に依存するケースが多かったのですが、次第に自ら企画を立てて新しい媒体を開発、大手企業との共同開発、試験実施を繰り返して正式な媒体を作り出していきました。

山手線の車内にテレビを設置して動画の広告を出すようになったのは、勿論ですがJ企が出来てからです。そして、今では日本の広告代理店の5本の指に入るようになりました。そして今では、新卒採用をする大手企業になっています。

営団地下鉄もハウスエージェンシーを設立

それから数年後になりますが、民営化された東京メトロもハウスエージェンシーであるメトロアドエージェンシーを設立しました。私も設立パーティに呼ばれましたが、ここでも同じように営団地下鉄のころに入社した社員が転職と言う形で配属されてきました。

ただし、営団時代から広告を主に扱っていたアイデアマンのベテラン社員が実務のトップに立って進めてきたので、専属の代理店と力を合わせて今まで誰も手を付けなかった箇所に広告を着けたり、既存の媒体を更に効果的に使った広告作品をたくさん作り上げていきました。都心の地下を走る鉄道網を実に有利に使っています。

交通広告の代理店も変化する時代

先ほど、交通広告は動かない広告媒体と言う話をしましたが、「交通広告はポスターと看板だ」と言うのが昔からの考え方で、春光社のかつての社長は新しい媒体が幾ら出来ても頑固にそれを守っていましたが、代が変わりして息子の時代になると映像媒体をどんどん進めているのが今の春光社です。

今の時代に合った広告を幾つも提案しています。

車体広告の出現

車体を媒体にして電車やバスを走らせるようになったのは今から15年くらい前のことです。最初は都営バスの車体広告からスタートしました。号令をかけたのは当時の石原都知事で、人が乗っていなくても時間通りに走らせるバスの収益を上げるための方法として決断しました。

当時は車体に広告を出すのは都の条例に違反する行為でしたが、これを変えてしまったのです。ただし車体の10%までと言う縛りを付けました。それでも、他県のナンバーを着けた観光バスの全面を広告にしてしまったラッピングバスが音楽を流して街を走るようになったのが現状です。

街を歩いていると出会い系サイトのラッピングバスを見たことがあると思います。

業界団体の自主規制

そうは言っても車体広告は、業界団体が自主的な審査を行うようになってから、デザインの派手なものや交通事故の原因になるようなものは排除されるようになったため、上手く運用されています。

電車の車体も広告は10%まで、広告キャンペーンのような使い方をするものは30%まで使えるようになっているので、練馬区がキャンペーンに使用している西武池袋線の「銀河鉄道999」のラッピングは子供たちにとても人気があります。更に、電車バスに限らず、タクシー広告や旅客機の車体まで広告に使われるようになりました。

鉄道会社のハウスエージェンシー

ハウスエージェンシーの話をもっとすると、ジェイアール東日本企画以外にも分割民営化で出来た6社にはジェイアール東海エージェンシー、ジェイアール西日本コミュニケーションズ、ジェイアール四国企画、ジェイアール九州エージェンシー、令和2年から社名を変更したJR北海道ソリューションズのハウスエージェンシーがあります。

何処も駅の構内を使った広告媒体の開発に力を入れており、紙のポスターから新規の映像媒体(デジタルサイネージ)に転換を図っています。そして、その広告を販売するのが専属の広告代理店です。地場の広告主のばかりでなく、ナショナルクライアントの広告などは、鉄道のように他の地域の代理店との相互乗り入れが行われています。

ただし、車内の広告がスマホの出現で訴求率が下がってしまったのが残念ですが、それでも気になる広告の検索を直ぐその場で出来るのが今の広告の利点です。

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近年OOHのデジタルサイネージが売上を拡大し、広告媒体として伸びている分野です

電柱広告もスマホと連動する時代

電柱広告には電力系のハウスエージェンシーとNTT系のハウスエージェンシーがあり、東京電力には電柱広告の管理運営をする東電広告、中部電力には中電興業、関西電力には関電サービスなどがあります。

NTTはNTTアドがあり、電柱のほかにもタウンページなどの電話帳事業も行っています。そして、広告代理店は電力系、電電系の両方の電柱を扱っている会社もあります。

電柱広告と言うと一般的にはとても地味な媒体で、社名(店名)と電話番号を入れる程度しか広告に入れることが出来ない上、板面に使える色数も決められています。

そして、価格は一本だけならば安いのですが、一つだけでは効果が薄いので、複数掲出することになります。そのために考え出されたのが、電柱広告にQRコードを入れることです。アクセスして貰えれば、そこに詳しい内容を盛り込み、道順を知らせることが出来るので、効果的なのです。

これによって売り上げを伸ばした販売代理店がありました。このようなアイデアがOOHメディアには重要で、売り上げを伸ばす要素になります。既存の媒体も時代の変化に合わせて変化していくようです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

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現在、品川駅の垂れ幕にデジタルサイネージ広告が登場しています。単に壁や柱にとどまらず、室内空間や布にもデジタルの技術を取り入れているなど進化を遂げています。こういった分野の広告代理店も面白いことができそうですね