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在籍型出向って?
在籍型出向とは、ある企業の社員としての立ち位置は変わらず、関連会社や他企業へ異動し、異動先の企業の管理下で仕事をすることを言います。
例えばの例で言いますと、「(株)電通(出向元企業)の社員としての身分はそのままで、(株)電通YR(出向先企業)の指揮命令下で仕事をする」という場合が該当します。
出向元と出向先に二重の雇用契約が成立するため、“(株)電通の社員”という身分を失うことはありませんが、“(株)電通YRの社員”でもあることになります。どちらの労働条件下(給与や勤務時間など)が適用されるかは、契約内容によって異なってきます。
在籍出向と派遣は何が違う?
「なんだか派遣みたい…」と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、内容は別物です。派遣の場合、派遣元企業との間にのみ雇用関係が成立します。派遣先企業との間で成立するのは、指揮命令下の関係のみです(雇用では二重契約は成立しません)。
また、在籍出向とよく混同してしまうのが転籍出向。転籍出向の場合、出向元との雇用関係のすべてが出向先に移転します。
在籍型出向の仕事とは
最初に在籍型出向とは、籍は出向元にありながら、給料は出向先の職場から受け取って勤務すること(給料は出向契約によって逆になる場合もある)です。
つまり出向元と雇用関係にありながら出向先の指示に従うというのが在籍型出向の仕事です。
これは巨大なグループ企業を形成している総合広告代理店に多くみられるものの、企業の方針や協力関係などによって、それらのような広告代理店以外でも起こりうる勤務でもあります。
そして、広告代理店における在籍型出向の仕事は、親会社から子会社、子会社から親会社によって異なります。
次の項目ではそれぞれの目的について紹介していきましょう。
在籍型出向の業務
親会社から子会社への在籍型出向の場合は、主にマネジメント業務になります。
親会社の意向を子会社のスタッフに伝えることや親会社のノウハウを子会社へ共有するといった業務が主です。
基本的に親会社にいた頃に比べて、裁量や自分に求められる業務の範囲は飛躍的に広がっているため、より能力を求められることも少なくありません。
また、専門技術を生かして子会社の企業に、その技術を伝達するという業務もみられます。
やや誤った見方として、都合の良い左遷に感じることもありますが、柔軟な勤務形態をとるようになった昨今の人材交流に置いてそういった意味合いは薄れています。
反対に子会社から親会社への在籍型出向もまれではありますが、存在しないわけではありません。
これは、主に親会社の業務を学ぶことや親会社の苦手とする部分に対してテコ入れを行う場合に行われます。
親会社の業務を学ぶことによって、子会社に戻った際にはノウハウを子会社にもたらし、結果として組織の強化につながります。
また、親会社に子会社が得意とするクリエイティブ分野の技術を導入する場合や、人員不足を補うといった目的で出向することもゼロではありません。
このように広告代理店業の在籍型出向は親会社から子会社へは主にマネジメント業務、子会社から親会社へは間接的な子会社の強化や親会社の体制強化といった目的で技術的な業務が主なものになります。
いずれにしても在籍型出向は出向先の指揮命令系統に入り、そこで業務に当たるのが基本です。大型のキャンペーンや大規模なブランディング案件、流通の広告担当者など、事細かな作業を行っている場合などのケースもあります。
在籍型出向のやりがい
在籍型出向のやりがいは、先ほど同様に親会社から子会社、子会社から親会社によって大きく異なります。
親会社から子会社へ行った場合のやりがいは、業務の範囲が広がって自由度が増すことや自分たちの請け負った仕事がどのようなプロセスで形になっているかが分かるということです。
仕事をコンペによって獲得し、クライアントと交渉を行います。
そしてそのクリエイティブな部門や契約した総合的な広告の一部、例えばA社との総合的な広告契約のウェブ部門などを子会社に委託した場合、子会社からは完成したコンテンツが納入されるだけです。
しかし、このコンテンツがどのように作られたのかといったプロセスが分からない場合も少なくありません。
こういった分からない川下の部分の工程を出向によって学ぶことができるのです。
そうすることで、広告のプロジェクトの全体像が分かり、自分の受けた仕事がどのようにして作られているのを知って、子会社との円滑な業務になる可能性もあります。
反対に子会社から親会社に行った場合のやりがいは、自分たちの仕事の全体像を知ることができるということに尽きます。
今までは親会社に巨大なプロジェクトのミクロな部分だけを委託されて、それを完成させていったのが主な業務内容だったはずです。
しかし、親会社に在籍型出向することで、自分たちの仕事がどのようなもので、プロジェクト内でどのような位置づけだったのかを知ることができます。
そうすることで、広告のプロジェクトの流れを知ることができ、出向元に戻った際にさらなるモチベーションになります。成果を出し元の会社に戻った時は、評価される可能性もあります。
一方で、元の会社の業績が悪い場合は一時しのぎ的なケースもあります。それはそれで他社でも経験を積むことはできるはずです。
在籍型出向の年収は?
在籍型出向の年収は、出向元の基準です。
例えば、子会社で出向元の年収が400万円であれば400万円、親会社で出向元の年収が800万円であれば800万円になります。
同じ業務を行ってもこれだけ差が出てしまうこともあるため、人間関係の軋轢を生むことがあるので注意が必要です。
ただ、こういった不公平な状況にならないように出向契約時の取り決めによって極力出向先と同じ待遇にするというケースもあります。
これは広告代理店業であっても例外ではないため、確実に○○万円というような結論が出しにくいのが在籍型出向の年収です。
在籍型出向は激務?
在籍型出向は出向先の状況によって大きく異なります。
例えば、形だけの在籍型出向で適当な肩書を与えられたといった場合は広告代理店業であっても仕事は比較的少ないでしょう。
しかし、経営のてこ入れや技術の補強目的など、特定の目的によって出向した場合は、親会社や子会社といった出向先を支える必要に迫られるので、自然と激務になります。
広告代理店業は基本的に激務になることが多いため、後者のケースに陥りやすいです。
しかし、例えば親会社から定年前に適切な役職がないという目的で雇用調整として在籍型出向を命じられた場合は激務とは縁のない状態になり得るでしょう。
こういった傾向があるものの、現在は役職目的の在籍型出向ではなく解雇などリストラの対象になることが多いため、目的を持った在籍型出向として激務になりがちです。
在籍型出向の独自の悩みは?
在籍型出向の独自の悩みは業務に慣れないこと以上に人間関係にあるといえます。
親会社から在籍型出向してきた場合は、同じ仕事やあるいは自分たちよりも稚拙な仕事をしているのに親会社並みの給料をもらっているという妬みを受ける場合があります。
リストラに遭ったというみられ方をする場合もあるでしょう。
また、逆の場合は子会社からの出向だと見下されたり、同僚であっても何となく上下関係ができてしまったりといったトラブルに巻き込まれることも少なくありません。
確かに慣れない環境で、業務に当たらなければいけないというのも在籍型出向の悩みではありますが、一番はこういった出向元と出向先との関係によって生み出される人間関係のトラブルが悩みになります。
また元の会社の業績も半期や通期でどういう状態であるのか知っておくことも大事でしょう。
在籍型出向が伸長中の理由とは?
コロナ禍によって広告代理店業も打撃を受けているのが事実です。
そのため、経営の一環として人材を柔軟に異動させることによって、様々な状態に対応できるような体制づくりを行っています。
こういった状況から、子会社に親会社の人材を出向させることによって、子会社のテコ入れを行ったり、あるいは子会社から親会社に出向させて技術やマネジメントを学んでもらったりといったことが盛んに行われるようになりました。
さらに、親会社となる本体が経営のみに専念できるような体制づくりを行い、制作や企画立案を子会社に任せるといった経営と営業の分離を行うための出向ということも可能性として挙げられます。
いずれにしても新しい職場という新しい環境の中で、今までとは異なった業務に当たるため、激務と感じることも多いのですが、それ以上に親会社から来た、あるいは子会社から来たという色眼鏡で見られる人間関係のストレスに対してある程度耐性を持つ必要があります。
基本的に在籍型出向は1年以上の勤務を求められることが多く、広告代理店業も例外ではありません。
これから広告代理店の経営の変化の一環として積極的に行われるような雇用形態になりつつあるため、注視しつつ、該当者になった場合は柔軟な対応をするようにしましょう。
今回は基本的な在籍型出向について紹介しましたが、コロナ禍による広告業界の不況によって、親会社も雇用調整や雇用機会の提供という形で在籍型出向を推進している向きがあり、それが伸長している理由になっている可能性もあります。
しかし、だからと言ってリストラのようなイメージで受けてしまうとモチベーションを保つことができません。
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