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8月に行われた東京オリンピックと広告業界について話をしてみたいと思い
昨年の広告業界は巣ごもりによりクライアントからの広告費削減などにより、大手広告代理店は軒並み減収減益を発表しました。
それによって、電通では個人事業主化や本社の売却、博報堂も社内の不正などいい話がありません。今後復活をしていくためには、オリンピックの開催は必須でした。
なんとかオリンピックが実施されましたが、売上はどのぐらい上がったのでしょうか。そんなことを考えるのは、ズバリ広告代理店の従業員です。
無観客の試合が多く、TV画面の背景には広告をいくつか出てはいましたが、観光客を含む収益は当初の計画よりは格段に落ちてしまったでしょう。
正式な発表はこれからですが、、
もう大手、中小企業も含めて生きる力がまさに求められています。会社がどのぐらいの規模であるかということよりは、会社そのものに稼ぐ力があるのかが問われているのではないでしょうか?
オリンピックの開催は、広告代理店の復活の足掛かりにもなるため、注目がされています。
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Contents
オリンピックの総予算に占める広告費
そもそも、オリンピックの広告費は総額の中でどのくらいの割合をしめているのでしょうか。
オリンピック総予算に占める広告費の割合
オリンピックの総予算の内訳ですが、広告宣伝費の割合は約14%。これは、オリンピックの費用の内訳として「マーケティング」「管理・広報」が占める割合。この14%の内、管理・広報が占める割合が34.2%、マーケティングが65.8%です。
オリンピックの総予算っていくら?1兆3500億円
※2018年に出た最新試算
発表されている広告費をみますと、管理・広報費が600億円、マーケティング費が1250億円です。
そして、ハード費が7050億円、ソフト費が6450億円となっています。
これだけの多大な広告宣伝費用がかかるのがオリンピックですので、大会の運営には、多くの企業がスポンサーとして出費しています。
東京オリンピックに期待する広告宣伝効果
東京オリンピックが開催された場合、過去の実績から多くの外国人が東京や日本各地に訪れると試算されており、企業が商品の広告宣伝をする絶好のチャンスと考えられています。
各企業はオリンピックの協賛費用のみならず、広告宣伝費や各スポーツ競技への協賛金、広告費などを実に多の予算を投下しオリンピックと製品やサービスを結びつけようとしています。
先ほどのオリンピック自体の広告宣伝費はある程度どんな広告を投下するのか決まっているはずですが、各企業の広告はオリンピック自体が盛り上げれば、どんどん追加費用を投下することも考えられます。
オリンピックパートナーの4つ
以下オリンピックのパートナーには4つがあります。
ワールドワイド オリンピックパートナー
ワールドワイドオリンピックパートナーとは、4種類あるパートナー契約の中で最高のパートナーです。国際オリンピック委員会と契約します。
- マクドナルド、コカ・コーラ、P&G、オメガ社などの大企業がスポンサー
- パナソニック、ブリジストン、トヨタ自動車など12社が契約しています。
オリンピック ゴールドパートナー
ゴールドパートナーは、4つのパートナー契約の中で2番目に権威があります。国際オリンピック委員会と契約するのではなく、各国の大会組織委員会と契約します。
ゴールドパートナーになると、各種団体やイベントのタイアップ、シンボルアスリートの肖像権の使用などができるようになります。NECやNTTといった通信業界最大手のほか、asicsなどのスポーツ関連企業、日本生命や三井住友銀行など、金融業界の大手企業が契約しています。
オリンピック オフィシャルパートナー
味の素やキッコーマンといった食品関係の企業のほか、TOTO、セコム、日本航空
オリンピック オフィシャルサポーター
東京オリンピックのオフィシャルサポーターには、AOKI、コクヨ、パーク24など
これらの4つのオフィシャルサポーターは多くの費用をかけてスポンサーになっているため、積極的なオリンピックへの関連広告をうって来るはずです。スポンサーになって「はい、終わり」では元が取れません。
オリンピックのスポンサーになるメリットは?
オリンピックのスポンサーになるためには莫大な費用が必要ですが、スポーツ競技の放映では各企業のロゴなどが画面に映し出されます。
オリンピックキャンペーンを毎回実施するP&G
オリンピックを世界中に自社の製品やサービスを知ってもらう絶好のチャンスと考えられるからです。例えば、P&Gでは、オリンピック競技者とその選手の母が一緒に登場するキャンペーンでブランディングを行い、選手を支える母は素晴らしいと訴求しています。
母親が使うような日用品の製品ブランドを数多くもつP&Gにとっては、洗剤や化粧品やシャンプーなどの日頃毎日使う製品のイメージアップに繋がります。
さらに、コーポレートキャンペーンとして、全製品を束ねた店頭キャンペーンにて売り上げ増を狙いいますし、各国でのTVCMを投下し新製品の訴求ど同時に行います。
さて、ここまでいかに企業は認知をあげ売り上げを増加させるために世界中に広く知らしめられるオリンピックをチャンスと捉えていることがよく理解できたかと思います。
そして一方で、広告業界の実態を確認してみましょう。
「2020年 日本の総広告費」ネットとデジタルは伸び続ける
電通が2月25日に発表した「2020年 日本の総広告費」は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、6兆1594億円(前年比88.8%)に減少した。イベントや販促キャンペーンの延期・中止が響き、東日本大震災のあった11年以来、9年ぶりのマイナス成長を記録。1947年の統計開始以降では、リーマンショックの影響を受けた09年(同88.5%)に次ぐ下げ幅となった。
媒体別だと、マスコミ四媒体広告費は2兆2536億円(同86.4%)で、6年連続の減少。「新聞広告費」「雑誌広告費」「ラジオ広告費」「テレビメディア広告費」全てで、前年割れした。特にテレビメディア広告費は、東京2020オリンピック・パラリンピックをはじめ、大型イベントの延期が続き、1兆5386億円(同88.7%)に落ち込んだ。
プロモーションメディア広告費も、1兆6768億円(同75.4%)と減少。特に「イベント・展示・映像ほか」が3473億円(同61.2%)、「折込」が2525億円(同70.9%)と大幅に減った。
一方、インターネット広告費は2兆2290億円(同105.9%)と好調。20年4~6月は新型コロナの影響を受けたが、他メディアよりも早く回復基調に。巣ごもり需要により、SNSやネット通販(EC)への接触機会が増え、大手プラットフォーマーを中心とした運用型広告の需要が高まった。
また、マスコミ四媒体の事業者が提供するネットサービスでの広告費(マスコミ四媒体由来のデジタル広告費)が803億円(同112.3%)と増加。家電や雑貨などのECで、出店者が投下した広告費(物販系ECプラットフォーム広告費)も1321億円(同124.2%)と、2桁成長を記録した。
ネット広告は、活動自粛でも伸長した
4マス広告費は2兆2536億円と全体のパイの中では、まだまだ大きな比重を占めていますね。巣ごもり需要もあり自宅にいる機会も増え、TVを見る人がいると各企業が考えたようで、2020年の5月以降はTV広告の出稿も2月よりも増加傾向でした。
確かに、日用品やゲームなどのエンターティメントに時間を費やす時間も増えました。特に外食ができなくなった分、自宅で料理を作る家庭が増えたので食品会社はチャンスとばかりに巣ごもり期間の家庭で楽しく食事ができるという提案などのプロモーションも行っていました。
またゲームに関しては、子供と大人も楽しめるソフトが人気を集めて、バンダイ、ソニー、任天堂なども売上が増加しました。サイバーエージェントのゲームも若者に人気です。
しかし、巣ごもりで定着した製品以外は、どれも売り上げが落ち込んでいます。
なんとか売り上げを増加させたいと考えるのはどの会社も同じではないでしょうか?例えば、オリンピックを目掛けて新製品を開発してきたメーカーもあったと思います。
これから「よし、新製品の宣伝をオリンピックで盛り上がっている時に訴求すれば、きっと売れるぞ」と考えていたマーケッターもいるでしょう。
東京オリンピックは、金メダルで盛り上がった
オリンピックが開催され数百人という観光客やTVを介してアスリート達を応援してそれなりに楽しむことができました。
東京オリンピック無観客の場合、経済損失は約2兆4133億円
無観客での開催の場合は、無観客であることから、観戦者の消費支出はゼロとなり、グッズの売り上げなども半減すると仮定し、大会開催中の経済効果は当初の見込みより約7198億円が失われるとみている。 … さらに1年間延期による損失約6408億円を加え、長期的な経済損失は約2兆4133億円としている。
この試算の中には、広告宣伝費用が含まれておりますので、オリンピックを足がかりにして広告案件を獲得しようとした広告代理店にとっては、痛い発表となってしましました。
また有名タレントの聖火リレーの辞退も多く、選手達も無事各国から入国でき、4年に一度の最高の演技や競技ができるのかも心配なところです。
東京オリンピックは、誘致活動時から「お・も・て・な・し」をテーマにした一大イベントでありましたが、東京オリンピックのロゴの問題、森元首相の蔑視発言、最近では元電通のクリエイエティブディレクターの佐々木氏のタレントの容姿発言など。
多くの問題が浮き彫りとなることになりました。本当にこのような状態で東京オリンピックが盛り上がっていけるのか、広告代理店は無観客でも生死をかけたキャンペーンをうち、是前年度の赤字を補填することができるのでしょうか?
今年の売上を達成できない場合は、広告業界の中で大きな比重を占める、会社の拠点の設備費用や人件費用を益々検討しなくてはならないでしょう。
正式なオリンピックの売上は発表されることでしょう。しかし高利益を出しているとは言えないのは事実です。
9月~12月までの広告予算の捻出が各企業で検討され実施されればよいのですが、未だ自粛があるのですからどういうことで売上が伸ばせるのか各社の試行錯誤はまだまだ続きます。